今年つくったもの2022

今年もいろいろと作ったなあ、ということで振り返ります。 

1. ラジオ体操再生専用機(2月)

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ラジオ体操が再生できる専用機です。スマホみたいに「なんでもできる」っていうのがあんまり好きじゃなくて、できる限り「それしかできない」ってガジェットを作っていきたいと思っています。

 

これ実は何年も前に作って使ってたんですが、ちゃんと色を塗って、ウェザリングを施して、できるだけ徳島城公園(地元)にあるラジオ塔に近づけた状態で公開しました。

このラジオ塔の前でラジオ体操をした20年前の経験も、記事の最後に書いてます。

2. 入浴剤を薬の錠剤みたいなパッケージにする(3月)

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2万リツイートを超えてバズリました(今年一番)。風呂で入浴剤を使っているときに思い付くという、まったく意外性のない発案方法でした。

 

バキュームフォームを使うのは、人生初体験の工作。このために電熱コンロも買って準備したのですが、正直上手くいくか不安で、実際やってるときも失敗しまくっていたので、お蔵入りかなと何度も思いました。結果的に上手くいってよかった。

 

仕上がりは最高で、そのまま雑貨として発売できるアイデアだと手前味噌ながら思っているのですが、特にどこからも声はかからず。一方で「誤飲したらどうするんだ」というクソリプはたくさんもらいました。このサイズをどうやって誤飲するんだと思いつつも、そういう反応があるから商品化できないのかなとも思いました。いやな世の中ですね。

3. UV-EPROMが紫外線で消えていく様子を可視化する装置(5月)

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UV-EPROMという不揮発性メモリがあります。主にフラッシュメモリの登場前に使われていた(今も一部で使われている)歴史のあるメモリで、チップの上部に空いた窓に紫外線を照射することで、データを全消去できるのが特徴です。

 

「じゃあメモリから画像を読み出して液晶に表示しながら紫外線を当てると、データが消えていく様子を可視化できるのでは?」

 

そんなことを思ったので試してみました。めちゃくちゃマニアックな記事で、そんなに読まれないだろうな……と思って公開したんですが、蓋を開けてみればバズリました。こんな説明しづらい記事を書かせてくれるのは「デイリーポータルZ」くらいしかないぞ、と思っていたので、通してくれた編集部に感謝しかないです。しかも6月の編集部賞もいただきました。

4. 教室みたいなスピーカーにAlexaを入れてチャイムを鳴らす(6月)

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ネタ帳に「気になるモチーフ」をメモっておいて、あとでそれを見ながらネタを膨らませるということをしています。これも「学校のスピーカー」とだけ書いていたメモを元に生まれました。

 

最初はナショナル製の本物のスピーカーを買おうとしてヤフオクを漁っていたのですが、本物使っちゃうと良さが薄れるなあ、と思いなおしたので、結局一から自作しました。そっちの方が断然いいし、実際よくなったと思う。

 

記事の最後に書いてるけど、「ソーガイドF」というツールが神でした。木工あんまりしないので、こんなのあるの知らなかった。

5. レトロPCゲームみたいな写真が撮れるカメラ(7月)

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これもバズリました。「年齢層高めのネタはバズリやすい」ってのが確実にある。インターネット老人会みたいな。

 

3月に個展をやったときに制作したカメラを拡張して作りました。

ラズパイで作ってあるので、ソフトウェアだけ変えてやれば、いろんなエフェクトが付けられる万能カメラになるって寸法です。

 

個展をやったときは、これに3つの機能を搭載してワークショップ(散歩)をしました。そこに今回、4つ目の機能として「レトロPCゲームみたいな写真」を追加したのでした。

 

これは個人的にも気に入っているし、ウェブアプリを作ってくれる人まで現れました(こちら)。いい記事が書けて満足です。

6. 激しく抵抗する抵抗(7月)

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www.cemedine.co.jp

セメダインのオウンドメディア「セメダインスタイル」に初登場。企業の広報用メディアなのに、私のヘンテコな工作記事を書かせてもらえてありがたいです。

 

これもバズリました。が、主に作者が意図しない形でバズってしまい困惑しました……。なんでも「TE○GA」に見えるって言うんですよ。まあ言われてみればそうかもと思ったけど、全然そんなことは考えずただ「抵抗」を作ったんです、本当なんです……。

 

バイラルメディアにも「ダメだ、違う物に見える!」っていうタイトルで紹介されてしまい、それがYahoo!ニュースにも載って、なんだかよく分からない展開になりました。

7. 丸窓で風景を切り取れる、どこでも「悟りの窓」(8月)

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京都に源光庵という有名なお寺があって、そこに「悟りの窓」というこれまた有名な丸窓があります。あれをポータブル化すれば、どこでも丸窓越しの絶景が眺められるのでは!? という、去年つくった「下灘駅」と同じメソッドです。「下灘駅メソッド」とでも名付けようか。


これが全然うまくいかなかった。苦し紛れに、丸窓の位置に液晶を埋め込んだりしてお茶をにごしてみたものの、そもそものジオラマの出来がいまいちなんですよね。もっとジオラマ作り上手くなりたい。情景師アラーキーさんの本を読んで勉強します。

8. やったかどうか忘れてしまう問題を解決するガジェット(9月)

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これは完全に趣味で作って、小ネタすぎるのでどこにも公開する予定はなかったガジェットです。そんな感じだったのですが、デイリーの編集部から「『工夫の鬼』というコーナーをやるので何か紹介できるものはないか」と言われて、じゃあ、と記事化した経緯があります。

 

めっちゃ簡単な装置なんですが、これこそ「自分が欲しいから作った」という最たるもので、本当にこの装置が欲しかった。便利なんですよ。反響も結構あって、自分も作りたいという方に依頼を受けて、作り方を教えたりもしました。

 

電子ペーパーが高価なので、表示を普通の液晶にして、「ボタンを押すと時間がホールドできる時計」として作り直せば、比較的安価に作れるとは思います。でも電子ペーパー使わないと面白くないよな、という葛藤もあったり。

9. 卓上で雨を降らせる装置(11月)

youtu.be

www.cemedine.co.jp

これは今年一番のお気に入り。ポンプで水を汲み上げて「雨」のようなものを降らせ、その様子を鑑賞するというもの。スノードームからヒントを得て作りました。動画を見て欲しいです、風流なので。

 

欲を言えば、もう少し雨粒を細く作りたかったです。でもチューブに空けた穴を細くすると、水が穴を通らずに滴らないんですよ。どうしたらいいか誰か教えて下さい。流体力学ぜんぜん分からん。ベルヌーイの定理しか知らないです。

 

これもセメダインスタイルに掲載いただきました。

10. 昔のマルス風、パタパタ路線検索ガジェット(11月)

www.youtube.com

fabcross.jp

ものづくり系のメディア「Fabcross」に初登場。いきなりマニアックなものを作らせてもらったんですが、これまた「年齢層高めのネタはバズリやすい」法則によって、結構読まれました。この法則はほぼ確実に当たる……。

 

作るのは結構大変で(なにせスイッチが40個もあるので、ほぼキーボード)、プリント基板も設計したし、アクリル+3Dプリンタ+100均商品を組み合わせた外装を作るのも面倒でした。でも結果的にいいものができました。デザインも「マルスM型のデフォルメ」っぽくなってかわいい。また個展などやる機会があれば、ぜひ触ってもらいたいガジェットです。

 

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そんな2022年でした。今年は連載が3誌になり、平日はフルタイムで別の仕事をする副業ライターとしては、かなりギリギリを攻める感じになってきました。しかも掲載先がものづくり系メディアに偏っているので、ほぼ毎月なにかを作り続けないといけない状態に。結構なプレッシャーではありますが、なんだかんだ言って余裕を持ってこなせているので、たぶん自分には向いてるんだと思います。

 

去年フィーバーした「なんでもぜんまい」については、10月~12月にかけてクラウドファンディングを実施。なんと一般公開後24時間で目標金額を達成し、最終的に502名もの方々にご支援いただくことができました。本当にありがとうございます。現在は製造について工場と調整中と聞いています。来年の前半には、皆様のお手元に届くことでしょう。わくわく。

 

製品化の裏話も記事にしてもらいました。

dailyportalz.jp

 

来年もたぶん今年くらいの数のガジェットを作ると思います。来年の自分に期待します。ではまた。